葬儀の手引き

葬儀の手引き

最近急速に葬儀のあり方が変わってきました。直葬や家族葬と云った僧侶や近親者さえも呼ばない葬儀なども行われています。さらに「葬式は要らない」などの出版物もベストセラーになっています。

また近年の葬儀は全て葬儀社に任せきりで、葬儀の意義を解らないまま、周りの人に流されて葬儀を終えてしまう人も増えているように思います。何も解らなくても葬儀社に任せれば遺族は、その流れに乗って一面では無事に別れの儀式を終えることができます。

しかしそのことが本当に亡き人や遺族が望む葬儀であるかは疑問です。

葬儀の意義

私は常に葬儀は「亡き人のお訪らい(とむらい)」であると伝えてきました。「おとむらい」とは故人のご一生を訪ね、故人の想い出を語り合い、その思いや願いに叶う葬儀を行い、残された遺族も故人の願いを大切に精一杯生き抜くことを考える機会です。

また阿弥陀如来をお迎えして仏式でお葬式を勤めることは仏教徒として大切なことであり、生死という人間の根本的苦悩は、医学でも科学でも救われません、「真実の如来に依る救いよりないのです」のです。宗祖親鸞聖人も「私はただ阿弥陀如来にたすけていただくだけです」述べておられます。

故人の人生最後のセレモニーを悔いの無いように勤めたいものです。その為には日頃から葬儀について家族で話し合っておかなくてはなりません。しかしそんな縁起の悪いことはできないとか、その時になれば何とかなると思っていても、いざというときには回りの人々の意見、そして葬儀社の勧めで思うような葬儀にはならないことが多いと思います。また葬儀の費用は高騰し、形骸化しています。これらを何とかしなければならないと思い長永寺門徒用の手引きとしてお知らせします。

1.平素から葬儀について家族で話し合う

  • 自分や家族の葬儀について平素から考え、話し合いをしておくことが必要です。「私はこのようなお別れ会を希望する」「こんな人を呼んでもらいたい」など
  • 寺としても葬儀に際し最大限の協力と相談に応じます。一人一人個性ある葬儀を共に考え実現出来るよう努力します。
  • 仏教徒として意義ある葬儀式を提案し、納得いく別れの儀式を共に考えましょう。

2.まず住職に相談してください

  • もしご家族が亡くなられた時はまず寺に連絡してください。病院などで葬儀社を依頼した時から、業者のペースに乗ってしまうことになります。どのような葬儀を行うかを寺とまず相談してください。
  • 2・30年前までは寺と遺族が相談して葬儀を行いました。殆どの家庭で葬儀は自宅で行い、近所の方がお手伝いをして助け合いましたが、今は家の事情や近隣の環境が変わりましたからそのようなことは難しいと思います。そして今、多くの人が葬儀社に任せればよいと考えているようです。
  • 長期間の看病や肉親の死のショックで混乱していて、葬儀社に全てを丸投げしてしまうことが多いと思います。そうなると葬儀社のペースで進み、中身や費用は充分精査されることはなく、不要な品物や儀式がどんどん増えて結果的に費用もかかります。
  • また迷信や誤った風習にとらわれないことも大切です。

3.葬儀の順序

1、長永寺への連絡

  • 枕経(正式には臨終勤行)に伺う、遺族はお焼香。ご遺体を合掌の姿にして胸元などを整えて、仏間の阿弥陀様の前に安置する。故人の人生に於ける締めくくりの勤経を住職が代わってお勤めする。
  • 日頃考えておられたことを踏まえて故人と遺族の思いを聞き、まず葬儀の概要を話し合う。
  • 住職より葬儀に対して必要な物、不必要な物等が説明されます。

2,葬儀社へ連絡

  • 住職、遺族、親族などが相談の上、火葬の日時、会場などを決定する。
  • 遺族が中心となり通夜・葬儀の細かな中身を葬儀社と相談して決定する。決して沢山の飾りや花を並べることや多くの人が集まることが素晴らしい葬儀ではないと思います。故人の生前における人柄や願いにかなった葬儀を話し合って決めて下さい。
  • 故人が生前お世話になった方々を選び、葬儀に参列していただく親戚・縁者にご案内をする。

3、納棺式

  • できる限り住職が立ち合い、遺族が中心となり葬儀社の助言を得て納棺式を行う。納棺夫などは必ずしも必要はない。
  • お棺には故人の生前使用していた服装で納棺し、式章をかける。(死に装束などは必要ない)その他燃える品物は入れてもよい。また遺族の感謝の思い(贈る言葉など)を書いて入れるのもよい。
  • その後、納棺勤経をお勤めし、焼香する。

4,通夜

  • 葬儀の前夜故人とのお別れの最後の夜です、故人との生前を思いながら、縁者が集まってお勤めをする。
【平均的な式次第】
・開式の言葉(司会)合掌 礼拝
読経(約30分)法話(15分位)仏教讃歌など
・喪主挨拶
子供や孫より故人への言葉などを入れてもよい。故人の愛した音楽などを流す、ビデオなどを写すことも考えられる。
・閉式の言葉
その後、通夜振る舞い(夜食)

5,葬儀

  • お棺には浄土真宗の導師が使用する七條袈裟を掛け修多羅をのせる。これは人生の最後を仏様に御礼の読経を導師と共におあげする意味があります。
  • 式の前に生前に法名を頂いていない人には住職が法名を付ける。
    法名とは仏弟子になった名前で本来は生前に頂くことが望ましい。
    法名はお釈迦様の釈を頂きその次に釈○○と二字を付けます。
    なお法名はお金がかかるものではありません。
【平均的な式次第】
・開式の言葉 合掌 礼拝 読経(約30分)参列者焼香
・法話(約5分) (弔辞・弔電)(故人へのお別れの御礼)
・喪主挨拶  合掌 礼拝 閉式の言葉
・お棺の前に進み、参列者より故人へのお別れと献花
・出棺 僧侶を先頭に霊柩車へ 火葬場へ
・火葬場では火屋勤経をお勤めする。参列者焼香
・荼毘(約2時間)・・・・・・収骨
・火葬場より帰り   お斎
・収骨終了後自宅に遺骨を安置し、寺へ連絡

6、礼参

  • 本堂で読経・焼香して、ご本尊様へお礼をとげる御仏前・お布施・志を寺へ預ける。

7,一七日並びに四九日法要

  • 亡くなられた日を含めて七日目に近親者が集まって一七日法要を勤めます。仏教では迷いの世界を六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)と云います、人間はこの迷いの世界を経巡っていますが、仏法に遇って悟りへの第一歩を目指さなければならないと説かれています。七歩目を「声聞」といいます。仏様の声(お経)を聞くことによって悟りへの道が開けます。故人を偲びながら七日、七日に遺族がお経に遇うお勤めが七日の法要です。そして自らもいつか死を迎えますが、共に仏になる人生を歩ませて頂いていることを味わうことが大切です。
  • 四十九日まで遺族は喪に服し、四十九日法要を満中陰(忌明け)と言い、多くの方がお墓に納骨されます。

4.長永寺本堂を使用しての葬儀の提案

門徒のご懇志で建立させていただいた皆様の本堂です。様々な儀式に大いに利用して頂きたいと考えています。しかし多くの方が互助会などの会員になりすでに会費を納めておられます。本堂を利用できない人も多いと思いますが本堂での葬儀についてご案内をします。また本堂利用の場合も葬儀業者は必要です。

特に最近葬儀が派手になり費用もかさむようになりました。本堂を利用して手作りの個性ある葬儀を考えてください。本堂(イス100席から120席まで)と本堂座敷(40畳の和室、10畳2間20畳一間)炊事場、駐車場などを自由に活用してください。規定の金額で使用出来ます。もちろんそれぞれ冷暖房も完備しています。宿泊も可能です。

本堂で葬儀を行う利点を挙げてみましょう。

  • ・通夜、葬儀とも長永寺のご本尊様の前でお別れの儀式が出来ます。
  • ・本堂にはすでにお荘厳が在りますから葬儀檀は原則必要在りません。従って必要最小限の備品と経費ですみます。もちろん別にお花など荘厳を飾りたいと願うご遺族には相応しい荘厳を行うことも出来ます。
    最小限必要なもの 位牌、お棺、骨堂、紙華など
  • ・ご遺体を病院から直ぐに寺にお連れすることも出来ます。本堂座敷に安置し、葬儀の相談が出来ます。もちろん自宅に帰ってから、寺にお連れすることも可能です。
  • ・通夜振る舞いや葬儀のお斎は座敷を利用して行うことが出来ます。遺族の知人の料理業者を利用することも可能です。また寺が代わって出入りの業者を通じて用意することも出来ます。もちろんマージンは頂きませんから安価で充実したおもてなしが出来ます。
    葬儀後のお斎は別に料理店などを利用することも出来ます。
  • ・長永寺婦人会員が様々なお手伝いをさせていただきます。準備や後片付けなども葬儀社と婦人会が共同してさせていただきます。遺族の皆様は共に故人の葬儀を精一杯勤めたという気持ちが残るようにお手伝いさせていただきます。
  • ・原則的な本堂利用料は長永寺役員会で決められています。
    現在は通夜葬儀二日間で門徒の場合は冷暖房料他として3万円です。

5.布施・ご仏前について

お布施やご仏前の金額について問い合わせがありますが、布施などは寺から金額を提示するものではありません。
ご仏前は阿弥陀如来の本願力によって、ご往生された故人の感謝の思いを仏様にお上げするものです。

また布施は僧侶の法施(仏様の教えをお経や法話によって施すこと)に対するお礼として上げるものです。人並みにとか、多いか、少ないかではなく、どちらも精一杯の心をこめて包んでいただければよいのです。